「幽女の如き怨むもの」読みました
ワーイ、刀城言耶シリーズの新しいやつが出てるぞー!と書店で見つけたので買って早速その日のうちに読みました。分厚かったのでなかなか無理をしてしまった。
- 作者: 三津田信三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/06/12
- メディア: 文庫
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戦前戦中戦後、各時代に名を変えつつも存在した遊郭で起こる、連続身投げ事件。その謎を刀城言耶が解き明かす!というのがあらすぎるあらすじ。
4章立ての構成は凝っていて、まず戦前の連続身投げ事件は花魁初代緋桜の日記、次に戦中の身投げ事件を遊郭女将の談話、戦後混乱期の事件については小説家のレポートという体裁で順に語られていきます。
この戦前の部分、緋桜さんの日記が分量の半分弱はあるのではないでしょうか。時代劇に出てくるような遊郭遊女の華やかな部分だけではなく、「売られた女性」の悲惨な日々が緻密に綴られているので、かなり「どんより」とした気分になります。
読み進めると、とにかく緋桜さん幸せになってくれないかなあ、と誰もが思うはず。
最終章で刀城言耶が行う推理ですが、たった一行で種明かしのほとんどが説明できる切れ味はいつもの爽快感で相変わらずです。
しかしその切れ味のよさと同時に「ううう、そんなことがあっていいのか!」と、なんだかいたたまれない気持ちも爆発してしまいます。ここが新鮮で今までとは全く違う感じというか・・・・
いや、殺人を犯したとはいえ、犯人にも様々な事情があったのだ、という事件解決後、一種のモヤモヤ感が残るのは推理小説では割とある読後感ですが、これほど「ううっ!」というのはちょっとなくてですね。是非とも読んでいただき体感してもらいたい!
不満としては、祖父江偲がほんのちょっとしか出てこないところですかねー。(完全に筋違いな不満)「水魑」や短編では結構登場して、いいキャラだと思ったんで、もっと祖父江偲の活躍?読みたいなー。キライな人も多いみたいですが。
大変面白く、無理して一気読みしたかいがあったなあというのが一番の感想なのですが、毛色が異なる作品なので刀城言耶シリーズを初めて読む方にはちょっとおすすめしにくいかも。もしぼくが勧めるなら「厭魅」「首無」かなー。
- 作者: 三津田信三
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小説の内容とは関係ないのですが、シリーズを重ねるごとに表紙のイラストが怖くなってる気がする・・・。