テラコブログ

たまに戦車のプラモデルを作ります

マッドマックス 怒りのデス・ロード みた

もう、様々な方が様々に感想・考察等書かれているのでアレだけれど、ほんとにほんとにほんとにほんとにほんとにほんとにほんとにほんとに面白かったし、書かずにはいられない!感想です。

(ちょっとネタバレしてます)

まず、ビジュアルていうんですか?なんか映るもの全てがかっこいいというか、テンションあがるというか、とにかくいい!音楽もナイス!ぼくは映画館のちょっと前のほうでみたので、いい感じで音響が響いてよかったです。迫力あった。

以下、書くことは映画を観終わってしばらくしてからいろいろ気づいたこと、考えたことです。見てる間はひたすら圧倒されてたので。

省略の手際のよさ

映画開始15分くらいの「説明」の手際の良さったらないですね。
マックスの独白と追跡劇を見せるなかで、世界観やマックスの人となり、現在の状況なんかを一気に、台詞に頼らず「説明」しちゃう鮮やかさ。見ているだけで異常にシビれました!

今作のマックスはこれまでとは関連がなくて、「名前が一緒」くらいに思っておいていいんじゃないでしょうか。ぼく「2」と「サンダードーム」しか見てないけど。
マックスは捕らえられて「血液袋」というモノ扱いになりますが、捕らえられる前から人間性がかなり剥落していたように描かれていました。マッド、というよりはなんかもっと深く孤独に沈み込んだ感じ。
動物から血液袋に、そして人間へ、といった変遷をたどっているのかな、と。

イモータン・ジョー、その砦、その組織、そしてウォーボーイズとはどういうものなのか、というのも画面を見てるだけで一気にわかるという素晴らしさ。
ワイブスの部屋に駆けていくシーンで映る植物工場や遠景の緑で、イモータン・ジョーがただの支配者だけでないことがよくわかると思います。こういうのがあるだけで、ストーリー的には省略されていても、イモータン・ジョーの支配者たる理由がキチンと想像できました。

ウォーボーイズの価値観、被支配者層の感覚、他にも手際のよい「説明」はそこかしこにあって、これはほんとに練りに練られた映画だなーと思いました。
もちろん、見てる時は完全に「うおーーーヒャッハーーーV8!V8!V8!」みたいな気分なんですけど、ちゃんとそういう気分にさせてもらえるのは、すごいと思います。
映画内で説明されるその先を、観客側に想像させるのがうまいのかなと思います。
登場人物の死もそのものズバリを見せるシーンって少ないんですよねー。グロいシーンてほとんどないんじゃないかな。でも、そのものズバリを描かないことが非常に効果的だと思います。

世界を覆う秩序

世界観はもはやお馴染みサンプリングオマージュパクられまくりのものですが、そういった「力こそ掟の無法地帯」からちょっと社会的に成熟しているような印象を受けます。

ガソリン、水、人が住める土地等の「富」が一部の支配者に偏在していて、あとはおこぼれにあずかるしかないが、それが当然のこの世の法である、という力による階級社会のルールが根付いているのかなあと。

物資の偏在感がリアルだなーって思いました。各集団ごとの縄張り意識もそこそこきっちりしてるようでした。秩序は崩壊後からしばらくたっているだけあってそれなりにあるのだと思います。ただ、その秩序さえ「マッド」なんでしょうね。

登場人物の知識格差

ウォーボーイズやワイブズって明らかに「バカ」に描かれているような気がしました。

崩壊後に生まれた人間はマトモな教育を受けてないので、考えがとにかく浅くて単純。世界の異なる尺度の物事をたった一つの物差しでしか測ることができない。しかも!その物差しに刻まれた目盛りは狂っている!

「ヴァルハラに行くゼー!死んで英雄の仲間入りや!」からの「ジョーの前でヘマしてしもた!もうアカン絶望や終わりや!」みたいな、ニュークスのスゲー単純な心の動きが、そういった典型に思えました。

ワイブズもところどころな〜んかボーッとした、ちょっと中身がない感じに描かれていると思います。あと、結構「すげ〜表層的なきれいごと」を言ってた、劇中唯一の存在だった気がする。

対してイモータン・ジョーはじめ支配者層は年齢が高く、ひょっとしたら旧世界、崩壊前を知っている。だいたい同年齢ぽい武器将軍も人食い男爵もどう支配すべきかみたいなのを、ちゃんと計算しているからこそ「一番上が一番先頭でハンドル握らんと下のモンは着いてこうへんのや」的な動きをとっているのかなあ、と。

鉄騎の女たちがおばあちゃん揃いだったのも、単にかっこいいばばあってだけでなく、前の時代を知っている人たちが「次につなげる」ことを意識した配置なのかな。ワイブスに「種を蒔くこと」を伝えていたし。

マックスとフュリオサはその中間なのかな?自分たちの意思次第でどちら側にも行ける、自ら選択できる存在。

とにかくアクションが激アツ

上映時間のほとんどすべてを占めるカーチェイスのアクションシーンがとにかくフレッシュでした。
フレッシュなだけでなく、画面を見て今何がどうなってるのかが分かりやすいのは超すごいですよね!
派手なアクションシーンって結構「アレ、こいつ今までどこにいたの?」とか位置関係がわからなかったりするんですが(おれだけ?)、そういうことは一切ナシ!

あと、車での追跡劇ってちょっと単調になりやすいような気がしません?
追う側追われる側の位置がある程度「前後」に固定されがちになるので、どうしても、車に飛び移った!やられた!飛び移った!やられた!が繰り返されてまたこのパターンかよ、みたいな。

本作では、特に後半、棒飛び隊による左右上下の動きがダイナミックにあって、そういう単調さがなかったように思います。他にもバイクによるジャンプとか狙撃とか砂嵐とか、アイデアがこれでもかと詰め込まれていて全く飽きませんでした。

そうそう、部族間で、駆る車両はもちろん、戦闘方法が大いに異なっているのもナイスアイデア!って感じでしたね!

話がない!なんてことはない!

ネットで見てると「蛍原さん正気ですか?」と思ってしまうのが「話のないアクションだけのバカ映画」ていう意見でして・・・いや、言葉を使う場面が少ないだけで、ほんのちょっとした目の表情、視線、ジェスチャー、人と人との距離感・・・
まさに千葉真一さんの言葉「肉体は俳優の言葉なり」ですよ!!!

特に後半の、腹部を刺されたフュリオサがそれでもグッと「立ち上がる」シーン!!!
いや、立ち上がってはいないんですけどね、画面上では。
でも立ち上がったとしか思えないんですよ、語彙が少なくてすいません・・・。

谷間でウォータンクの運転をマックスに託すシーンや、沼地でマックスがフュリオサに肩を貸すシーンは言わずもがな。
それまでに銃を外しまくるマックスが地味に面白かったですね。この映画、結構笑うところ多いですよね。

絵で見せるっていうのは割と徹底していたというか・・・、絶望したときのフュリオサのあの場面とか・・・思い出すだけで泣けてきちゃいますね。

マックスやフュリオサ、ニュークスはもちろん、ワイブス、悪役脇役、登場人物全員の一挙手一投足が、もしかすると爆発や砂嵐さえもが雄弁に語っている。
というと大げさかもしれませんが、結構本気で思っています。

もちろん、ギター!とか人食い男爵!とか、いろいろいろいろありますけど!

すごく面白かったのでぼくはみてよかったなあと思いました。(夏休みの日記的おわりかた)

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ?ド

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